COLUMN / 助成金

AI研修に、
人材開発支援助成金は使えるのか。

中小企業で要件を満たせば、使える可能性があります。

人材開発支援助成金の「事業展開等リスキリング支援コース」を使うと、研修費用の75%(1人あたり上限あり)と、受講中の賃金の一部が助成される可能性があります。ただし「必ずもらえる」制度ではなく、労働局の審査があります。

このページでは、当社が実務で確認している申請の実務手順を、出典つきで正直にまとめます。

制度の中身

何に、いくら出るのか。

「事業展開等リスキリング支援コース」は、中小企業の新規事業・DX・GXなどに関わる社員研修を対象にした助成金です。

  • 経費助成中小企業は受講料の75%、1人あたり上限30万円(訓練時間100時間未満の場合)研修時間が長くなるほど上限額は上がります(100〜200時間未満は40万円、200時間以上は50万円)。当社の研修は12時間のため、上限は30万円です。
  • 賃金助成中小企業は1時間あたり1,000円受講中の給与を補う助成です。研修を所定労働時間内に実施した場合のみが対象で、休日・時間外に実施した時間は対象外です。
  • 実訓練時間の要件10時間以上のOFF-JT(企業の事業活動と区別して実施する訓練)当社が2日間・研修時間12時間で研修を設計しているのは、この要件を満たすためです。
  • 制度の期限令和8年度末(2027年3月末)までの時限措置期限が決まっている制度のため、お早めのご検討をおすすめします。

出典:厚生労働省「人材開発支援助成金」制度ページ/同「令和8年度版 事業展開等リスキリング支援コースのご案内」(令和8年8月3日版・PDF)/同「支給要領」(令和8年8月3日版・PDF)。本記事の要件と金額は2026年9月1日時点のこれらの資料に基づいています。制度は年度ごとに改正されるため、申請の前に必ず最新版をご確認ください。

意外と見落とされる条件

企業規模と研修形式で、
上限額が変わります。

企業規模による違い:中小企業は経費助成75%・賃金助成1時間あたり1,000円ですが、大企業は経費助成60%・賃金助成1時間あたり500円です。同じ研修を受けても、企業規模によって助成率が変わります。

研修形式による違い:1人あたりの経費助成の上限額は、通学制(対面・オンライン双方向を含む訓練時間ベース)とeラーニングで計算方法が異なります。通学制は訓練時間が長いほど上限も上がる仕組み(100時間未満は中小企業30万円、100〜200時間未満は40万円、200時間以上は50万円)で、eラーニングは訓練時間にかかわらず一律の上限(中小企業15万円)です。当社の研修は対面・12時間のため、通学制の100時間未満の区分にあたり、上限は30万円です。

申請の実務手順

申請は、
どんな順番で進めるのか。

ヒアリング→設計→内容の確定→計画届の提出→実施、の順で進みます。走りながら中身を変えるやり方とは、構造的に相性が悪い制度です。

  • 01 / ヒアリング御社の方針と目的、いまどこに時間を取られているかをうかがいます助成金の話の前に、研修で何を扱うべきかをここで固めます。
  • 02 / 設計ヒアリングをもとに研修カリキュラムを設計します御社の実務を題材にした、2日間・12時間の内容を組みます。
  • 03 / 内容の確定助成金の計画届に添付するカリキュラムは、確定した内容である必要があります制度上、計画届を提出する時点で研修内容が固まっていなければなりません。
  • 04 / 計画届の提出訓練開始日の1か月前までに提出します提出自体は訓練開始日の6か月前から可能ですが、遅くとも1か月前までに提出が必要です(出典:人材開発支援助成金ポータル)。
  • 05 / 実施研修を実施し、実績を届け出ます助成金は訓練終了後の後払いです。受講料はいったん全額をお立て替えいただきます。

なぜこの順番が必要なのか

「決めてから始める」しか
選べない制度です。

助成金の計画届に添付する訓練カリキュラムは、確定した内容でなければなりません。つまり制度上、計画届を出す時点でカリキュラムが確定している必要があり、研修が始まってから内容を変えていく「走りながら決める」進め方とは、構造的に相性が悪い制度です。

当社が、研修に着手する前にヒアリングと設計をしっかり行い、内容を先に固めてから計画届を出す、という順番にこだわっているのはこのためです。当日になって「やっぱり別のテーマにしたい」という変更は、助成金を使う前提では原則できません。

申請は誰が行うのか

申請の手続きは、
社会保険労務士が担当します。

申請の手続きそのものは社会保険労務士の仕事です。当社と提携している社労士をご紹介しますので、そちらとご契約のうえお進めいただけます(社労士の費用は別途で、当社は紹介料等を一切いただきません)。顧問の社労士さまがいらっしゃる場合は、その方へ研修側の書類をそのままお渡しします。

当社がご用意するのは、制度のご案内と、申請に必要な研修側の書類(カリキュラム・教材・時間数・受講証明・お見積書)です。申請書類の作成・提出そのものは行いません。

生成AIの研修は対象か

人材開発支援助成金は、
生成AIの研修にも使えます。

ただし「DX化に関連した訓練」として設計されていることが前提です。ここを外すと、同じ内容でも対象になりません。

事業展開等リスキリング支援コースの対象訓練には、新規事業の立ち上げに伴う訓練だけでなく、事業展開がなくてもDX化・GX化に関連した訓練が含まれます。生成AIの研修は、通常こちらに位置づけます。新しい事業を始めていなくても使えるということです。

一方で対象にならないのは、意識づけだけで終わる研修と、通常業務の延長(OJT)です。「AIとは何かを知る」「まず触ってみる」だけの内容だと、審査で落ちます。カリキュラムの上で「どの業務で使う、どんな技能を身につけるのか」が書かれていることが要件です。

当社が研修時間を12時間で固定しているのも、この制度の要件(OFF-JT 10時間以上)に合わせているためです。カスタマイズで内容は変わりますが、時間数は変えません。

事業展開等リスキリング支援コース

2026年度が、
最終年度になっています。

このコースは令和8年度(2027年3月末)までの時限措置で、令和9年度以降は決まっていません。使うつもりがあるなら、逆算して動く必要があります。

中小企業の場合、経費助成は受講料の75%、賃金助成は1人1時間あたり1,000円です(大企業は60%・500円)。経費助成の1人あたり上限は訓練10〜100時間未満で30万円、100〜200時間未満で40万円、200時間以上で50万円。事業所あたりの上限は年間1億円です。

注意が要るのは研修の形式です。eラーニング・通信制だけで組むと、令和8年度の改正で経費助成の上限が一律15万円(中小企業)に下がります。対面や双方向のライブ研修を主体にしたほうが、30万円の枠を使えます。当社が対面にこだわる理由の1つはここにあります。

対象になるのは雇用保険の被保険者で、経営者・役員は対象外です。受講者を選ぶときに最初に確認してください。

当社が値引きをしない理由

値引きは、御社の受給を
危うくすることがあります。

令和8年5月14日からは支給申請時に「受講料等の価格設定に関する疎明書」の提出が必須になりました。つまり、公表している料金と実際の請求額が食い違っている状態を作れません。

当社が値引きをしないのは、強気だからではありません。公表料金(1名40万円・税込)と請求額を一致させておくことが、御社が受給できる状態を守ることに直結するからです。ご予算に合わない場合は、価格ではなく研修の範囲でご相談ください。

出典:厚生労働省「人材開発支援助成金」労働新聞社の報道。金額・要件は2026年9月2日時点のものです。

正直にお伝えすること

「実質無料」ではありません。

  • 後払い助成金は訓練終了後に支給されます受講料はいったん全額をお立て替えいただく必要があります。
  • 審査支給の可否・金額は労働局の審査次第です要件を満たしていても、支給が確約されるものではありません。本ページの金額はすべて試算例です。
  • 実質負担の試算例40万円(税込)/人のケースで、実質88,000円内訳は、経費助成30万円(受講料の75%・上限30万円)+賃金助成12,000円(1,000円/人・時×12時間)です。中小企業・要件充足時の試算例です。

人数・時間を入れて試算する →

よくあるご質問

助成金について、
よく聞かれることをまとめました。

Q助成金は必ずもらえますか。

Aいいえ。要件を満たしていても、支給の可否と金額を決めるのは労働局の審査です。本ページで示している金額はすべて試算例で、受給を保証するものではありません。

Q助成金はいつ振り込まれますか。

A訓練終了後の後払いです。研修の受講料は、いったん全額をお立て替えいただく必要があります。

Q申請の手続きは自社で行うのですか。

A申請手続きそのものは社会保険労務士の仕事です。提携の社労士をご紹介できます(紹介料はいただきません)。当社が用意するのは制度のご案内と、申請に必要な研修側の書類(カリキュラム・教材・時間数・受講証明・お見積書)です。

Q経営者や役員は対象になりますか。

A対象は雇用保険の被保険者です。経営者・役員の方は対象外です。

Qこの制度はいつまで使えますか。

A経費助成75%の事業展開等リスキリング支援コースは、令和8年度末(2027年3月末)までの時限措置です。計画届は訓練開始日の1か月前までに提出が必要なため、実質の検討期限は2027年1月頃の訓練開始になります。

Q大企業でも使えますか。

A使えますが、助成率・上限額は中小企業より低く設定されています。大企業は経費助成60%・賃金助成1時間あたり500円で、中小企業(経費助成75%・賃金助成1時間あたり1,000円)より助成の割合が小さくなります。

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